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画像電子学会

The Institute of Image Electronics Engineers of Japan

会長挨拶

縦の絆・横の鎖

藤代 一成(会長,慶應義塾大学理工学部教授)

Vertical Ligaments and Horizontal Chains

Issei FUJISHIRO(President of IIEEJ, Professor, Keio University)

 

本学会の 2016 年度会長を拝命するにあたり,提言として以下の 2 点を会員読者の皆様にお伝えしたいと思います.

1.縦の絆:技術スパイラルのショートカット

ICT の変遷を歴史的に俯ふ 瞰 かん しますと,個々の技術によってやや異なるものの,およそ 20 年を周期として,同種の技 術に対して社会的ブームが繰り返し起こっているように感じます. 例えば,バーチャルリアリティ(VR)を考えてみましょう.我が国では,今年 2016 年を「VR 元年」と称して,同 技術のインパクトをマスコミが囃し立ています.昨年の SIGGRAPH では,「VR ルネサンス」という題名のパネル討論 も話題を呼んでいました.若い年代の利用者は,安価で高性能なヘッドマウントディスプレイ(HMD)を全く新しい 没入型表示デバイスとして歓迎し,キラーコンテンツを楽しんでいるようですが,その動作原理自身は 90 年代に既に 商用化されていたものから大きな変化はありません.そして,HMD の開発は,対話型 CG の原点である SketchPad の 生みの親として知られる,I. サザランドが発明した 1968 年にまでも遡ることができるのです. 一方,チェスや将棋でプロに対抗できるようになった人工知能にも,現在熱い視線が注がれています.しかし,80 年 代の「第五世代コンピュータ」国家プロジェクトの取組みを振り返る報道は皆無といってよいでしょう.急先鋒として 持て囃されているディープラーニング.確かに,画像処理や CG 分野の問題を解決する成功事例も活発に報告されてい ます.しかし,元を辿れば,1979 年に福島邦彦先生が発表された「ネオコグニトロン」にその原理は行き着きます.コ モディティ GPU の並列処理によって現実的な時間で計算が可能になったことで再注目されているに過ぎません. このように流行り廃りを繰り返しながらも進展を続ける技術のスパイラルにシニアな会員は気付いています.その構 造や社会・文化的背景を紐解き伝承することによって,同技術の新たな担い手にはより確かな研究開発に勤しんでもら えます.このような技術スパイラルにおけるショートカットの効用―会員間の縦の絆―は,学会組織の大きな存続意義 の一つといえます.

 

2.横の鎖:処理パイプラインの拡大と共有

画像情報の効率的かつ効果的な伝送・蓄積技術の追究と標準化が本会の伝統的なゴールでした.しかし,画像情報の ライフサイクル全体を鑑みますと,生成から消費まで,より広範な処理パイプラインに目を向け,各フェーズ間の相互 関係を上手に利用していく必要があります.実は,生成のフェーズに深く関わる技術が Visual Computing に他なりませ ん.一方,消費の問題を本格的に取り扱うには,画像情報の消費者である人間の知覚・認知の仕組みをよく知る必要が あります.そこで,知覚心理学やブレインサイエンスの知見を積極的に援用することが欠かせなくなってくるのです. このような観点から,画像関連四学会連合会や,Visual Computing 委員会とも関わりの深い,情報処理学会「コンピ ュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会」や,映像情報メディア学会「映像表現&コンピュータグラフィック ス研究会」,CG-ARTS 協会,他との連携をなお一層充実させ,かつ周辺研究領域との接点も多元的に探ることで,さ らなる組織の強化を図っていかなければなりません.拡大された画像電子技術の「処理パイプライン」の共有―学会間 の横の鎖―は,必ずや豊かなシナジー効果を生み出せるはずであると確信しています.

一年という与えられた期間の中で,本職を全うするよう誠心誠意努力いたしますので,本学会へ向けて会員の皆様方 の積極的な貢献を心から御願いする次第です.

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