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画像電子学会

The Institute of Image Electronics Engineers of Japan

会長挨拶

ウイズ・コロナ時代における学会活動のパラダイムシフト

田中 清(会長,信州大学)

Paradigm Shift of Academic Activities in the Age of “With Corona Virus”

Kiyoshi TANAKA(President of IIEEJ, Shinshu University)

新型コロナウイルスの世界的蔓延は,私たちの生活に深刻な影響を与え続けている.感染拡大阻止を目的とする出入国制限,大都市のロックダウンや厳しい移動制限により,世界中で人・物の流れが停止したため,生産・流通機構が大幅に停滞し,グローバル経済は勿論,ローカル経済も大きな影響を受けて大量の失業者と巨額の経済的損出を生じている.日本でも,感染の急拡大を受けて発出した4 月の緊急事態宣言以降,ステイホームによる行動規制・自粛により,様々な事業が経済的打撃を被り,継続が危ぶまれる業種も多数出ている.5 月中旬に緊急事態宣言が解除されてからは,人の動きが徐々に戻りつつあったが,ここへ来て第二波の様相も認められ,正常な社会活動を取り戻す見通しはいまだ極めて不透明な状態にある.特にグローバルには,まだまだ感染は広まりつつあり,日本国民の努力だけでは何ともしがたいもどかしさも覚える状況にある.
一方,コロナ禍での人々の生活様式に目を向けると,大きな変化が認められる.その第一が,テレワークの普及である.感染リスク低減を目的に様々な企業がテレワークを導⼊し,事業所やオフィスなどの特定の場所に捉われない働き方が急速に⼀般的なものとなりつつある.テレワークは距離移動に伴う問題を解消し,これまで出張や通勤に費やしていた時間を,よりクリエイティブな思考の時間に充てれば,生産性や営業利益の向上につながるし,家族と過ごしたり自己啓発などに充てれば,生活の質を高めることもできる.約半数の人々が今後もテレワークを続ける意向を示すという調査結果もあり,コロナ禍前の状態とは異なる新しい生活スタイルに着実に移行しつつあると言える.第二は,テレワークが進行しその利便性・有効性が浸透するのに伴い,これを支えるインフラやツールが急速に発展していることである.安定したテレワーク実現には,通信インフラの整備・充実が不可欠であり,通信容量・速度を格段に拡大する第5 世代通信方式の普及を一気に加速させる可能性がある.同時に,テレワークに欠かせないオンラインTV 会議システムなどのツールのさらなる高度化・高機能化も期待される.第三は,デジタル化の進展による自律分散型システムへの移行である.今回のコロナ騒動により,従来の効率第一主義による大都市(密集地域)への機能集中が大きなリスクを有することが判明した.この結果,都市に存在するオフィス優位のシナリオが崩れ,多くの企業で事業拠点の分散化,さらには社員の働き方や組織のフラット化を再考する動きが加速している.今後,この動きは経産省が推奨するDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進と相まって,地方創成も含めた国全体のデジタル化への大きなスパイラルを生み出し,サステナブルでプロダクティブな経済モデルの構築へと進むことが期待される.
このように,新型コロナウイルスのリスクと隣り合わせ,かつ社会が大きくパラダイムシフトしつつある状況下で,本学会の新会長を仰せつかった.その任務として,当面,最も重要なことはこの変化への対応であろう.喫緊の課題として,12 月に延期された年次大会があり,従前の集会型限定の活動から脱却し,オンライン開催をも含めた制度設計が必須であろうと考えている.多くの参加者を得て満足度の高い大会を実現するために何をどうすべきか,衆知を集めて検討している.
次に,コロナリスクと共存するウイズ・コロナ社会の下で,本学会が担う役割は極めて大きいと考えている.第5 世代通信技術の普及を背景に,一層促進されるデジタル化の主役は画像電子技術に他ならないからである.高品質なTV 会議システムやリモート医療には,高精細・高速画像伝送技術が不可欠であり,3 次元画像伝送,ロボットビジョン,AR/VR,可視化技術など,より高度な技術が登場の機会を待っている.医療・福祉,土木・建築,交通,教育,防災等あらゆる産業で先端画像電子技術を利用した応用開発が求められており,農・漁業のIoT,観光支援でのドローン等の駆使など,地域の様々な課題解決への貢献も期待されている.異分野との融合を積極的に進めて学会の裾野拡大を図ると共に,得られた研究成果の発表の場として,応用研究発信に適した新たな論文カテゴリーの創設,年次大会・研究会等での企画セッションの充実・拡大など,先端画像電子技術のニーズが高い分野の研究者を呼び込む魅力的な企画を積極的に進め,学会のアクティビティ強化を図りたい.
なお,次回のIEVC(International Conference on Image Electronics and Visual Computing)ですが,海外渡航の可能性が,依然先行き不透明なため,先の理事会で国内開催を提案し,承認されたところです.開催時期は前回のIEVC2019 と同様に8 月下旬~9 月上旬頃(2021 年)を予定し,魅力的な開催地を検討中ですので従前以上に多くの参加者のご参加を期待しています.
最後に会員の皆様には,コロナに負けず鋭意先端画像電子技術の開発に取り組んでいただき,是非多くの研究成果を発表していただくことをお願いし,会長就任の挨拶に代えさせていただきます.
(注)DX(デジタルトランスフォーメーション):企業がビジネス環境の激しい変化に対応し,データとデジタル技術を活用して,顧客や社会のニーズを基に,製品やサービス,ビジネスモデルを変革するとともに,業務そのものや,組織,プロセス,企業文化・風土を変革し,競争上の優位性を確立すること.(経産省DX 推進ガイドライン,2018 年12 月)

 

 

  • 一般社団法人 画像電子学会

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